トイプードルの大腿骨頭壊死症(レッグペルテス病) 整形外科疾患
[2015年07月10日]
1か月前から寝起きや散歩後など、間欠的に左後肢をかばって跛行するようになったという、生後8ヶ月のトイプードルさん。
他院にて痛み止めと関節のサプリメントを1か月間続けていたそうですが、改善せずむしろ日に日に悪化傾向が見られたためセカンドオピニオンとして当院に来院されました。来院時、左後肢は着地できずに挙上させていました。
触診にて左股関節の軋轢音と疼痛、および左大腿筋群の委縮が認められましたので、レントゲン検査を行いました。
左大腿骨の大腿骨頭の変形、扁平化と巣状X線透過度亢進部位(虫食い様)が確認されました。
レントゲン検査所見や症状から、小型犬の成長期にみられる大腿骨頭壊死症(レッグペルテス病)を疑い、当院にて大腿骨頭骨頸部切除術(FHO;Femoral Head and neck Osteotomy)を実施しました。
手術後、左後肢は股関節がなくなるため筋肉で体重を支える事となります。そのため手術中の筋肉や骨へのダメージを最小限にしないと、術後の回復に大きな影響が出てきます。
今回は股関節へのアプローチは、ダメージを最小限にするため筋肉の切断は行わず筋肉の間を分離して筋肉を保護し、視野確保のための骨の切断は行わない低侵襲の手術法で行いました。
病理組織検査の結果、この子の病気は大腿骨頭壊死症(レッグペルテス病)でした。
手術前は痛くて着地できずにいた左後肢も、手術後早期から正常に戻り、現在では病気だったのが嘘のように後遺症も無く元気に飛び跳ねています。
大腿骨頭壊死症(レッグペルテス病)は、成長期の6~10か月の小型犬で多く見られ、原因はまだはっきりとわかっていませんが、何らかの原因で大腿骨頭に行く血液の流れが悪くなり、酸素や栄養が来なくなることでその部分の骨が壊死、死んでしまい、痛みや跛行が出てくる病気です。
この病気はお薬では治らず、手術が必要となる病気であり、そのままにしていると痛みは継続し筋肉も細くなり、関節は変形性関節症を呈してより悪化していきますので、もし成長期のワンちゃんで、安静にさせているのに足をかばっている症状が続いているような事がありましたら、あまり様子を見ずに受診されることをおすすめ致します。
かむい動物病院(東大和市、小平市、東村山市、立川市、武蔵村山市)