高度医療

ここでは、かむい動物病院で行う事のできる、手術や先端治療、特殊治療などの高度医療について、その一部を説明いたします。

神経外科 椎間板ヘルニア
整形外科 骨折
前十字靭帯断裂
膝蓋骨脱臼
腫瘍科 がん免疫細胞療法(活性化リンパ球療法)
再生医療 幹細胞治療
皮膚科・アレルギー科 減感作療法
循環器科 心エコー検査
内視鏡検査
東洋医学 鍼灸治療
エキゾチックアニマル科

神経外科

椎間板ヘルニア

ミニチュアダックスのブーム以来、椎間板ヘルニアの手術数は増え続けています。その中には手術になかなか踏み切れなかったり、すぐに手術すべき状況であることを知らずに時期を逸し、手術を受けても回復しなかった例が何頭もいます。 ここでは椎間板ヘルニアについて詳しく知って頂く為ではなく、手遅れの状態にしてしまう事を少しでも減らす為の説明をさせて頂きます。

<胸腰椎椎間板ヘルニアのグレード分け>
  1. 腰の痛みのみ。麻痺はありませんが、運動を嫌がったり、抱っこの時痛みを訴えて鳴くことがあります。
  2. 不完全麻痺。後ろ足のふらつきが出てきます。
  3. 完全麻痺。完全に腰が抜けてしまい、立ち上がれません。
  4. 排尿麻痺。自分の意志で排尿できなくなり、ぽたぽたと垂れ流しのようになります。
  5. 深部痛覚消失。
    脊髄損傷が起きても一番最後まで残る感覚である深部痛覚すらなくなります。

内科的治療で経過を観察するのは、グレード1と2の段階です。グレード3以降は手術による外科的治療が必要となります。
手術後の神経回復は、症状発症後48時間を境に大きく異なってきます。つまり同じ手術をしても、発症48時間以降に手術を施した場合の神経的な回復は、48時間以前に手術を行った動物と比べてどうしても乏しくなってしまいます。ですので、グレード3以降の症状の場合、内服や注射で改善を認めなければ、そのまま同じ治療で様子を見ずに早急な手術が必要となります。
かむい動物病院では、グレード3以降の症状での緊急な椎間板ヘルニア手術も行っておりますので、まずはご相談ください。

<手術の流れ>
1.脊髄造影での病変部の確認

椎間板は背骨の数だけ多数あり、脊髄はレントゲンに写りません。
まずは脊髄造影を行い脊髄がレントゲンで写るようにして、椎間板ヘルニアを起こしている病変部がどこかを確認します。
脊髄軟化症や脊髄腫瘍の疑いがある時など、症状によっては、CTやMRI検査も実施します。

この脊髄造影の写真では、腰椎2番目と3番目の間の右側(黄色矢印)に、椎間板ヘルニアを発症しているのが確認できます。

2.手術(片側椎弓切除術)

椎間板ヘルニアを起こしている背骨(椎骨)の椎弓という部分をドリルで削り、脊柱管内で悪さをしている椎間板物質を除去し、脊髄神経にかかっている圧迫を取り除きます。
写真のせる

整形外科

骨折

橈尺骨骨折だけじゃなく骨盤骨折や脊椎骨折も可能
プレート、創外固定、インターロッキングネイル、吸収プレート、

前十字靭帯断裂

前十字靭帯は膝にある重要な靭帯の一つで、人ではスポーツ選手が傷めてしまうことの多い靭帯です。前十字靭帯断裂は、動物では特に犬に多く発生し、すべての犬種と年齢において起こりうる病気です。肥満、老齢化による靭帯の脆弱化、膝蓋骨脱臼などを基礎疾患として持っている犬が、急ターンやジャンプなど、膝関節に急激な負担をかける動きをする事で多くは発症します。運動後の突然の後肢跛行や挙上として認められることが多く、触ると嫌がったり強い痛みを訴えます。2~3日の経過で痛みは緩和され、一見よくなったように見えますが、そのままにして慢性化してしまうと、半月板損傷や変形性膝関節症を起こしてしまいますので、早期の診断が必要となります。
治療は、犬の体重、症状などを考慮して、内科、外科の治療方法を選択しますが、中型犬以上になると手術が必要となる場合が多いです。
当院では、さまざまな手術法(ラテラルスーチャー法、オーバーザトップ法、脛骨粗面前進術)の中から、その子の膝の状態に最も適した手術法にて施術することが可能です。

新しい前十字靭帯断裂治療法:脛骨粗面前進術(TTA)について
脛骨粗面前進術(TTA)は、犬の前十字靭帯断裂に対する新しい手術方法です。
前十字靭帯の切れた犬では脛骨が前方に変位します。TTAは脛骨に骨切りを行い、専用のインプラントを装着することで、脛骨粗面を前方に固定する手術方法です。これにより、立位での地面からのベクトルと膝蓋腱が平行になることで、膝関節の力学的な安定化が図られます。 体重負荷がかかる部位に骨切りを行わない為、術後比較的早く歩行が可能となることから、現在犬の前十字靭帯断裂の手術として脛骨高平部水平化術(TPLO)と共に主流となっています。
当院院長はTTAのセミナーを修了しており、前十字靭帯手術の選択肢の一つとしてご提案することができます。

膝蓋骨脱臼

膝蓋骨(しつがいこつ)とは、いわゆるひざのお皿のことです。これが内側や外側に外れて脱臼してしまう病気の事を膝蓋骨脱臼といいます。内側の脱臼はトイプードルやチワワなどの小型犬に多く、また外側の脱臼は足の短いダックスフンドや大型犬に多く見られます。この膝蓋骨脱臼の程度は、4つのグレードに分け治療方針を立てます。
グレード分類を簡単に示します。

1.手で膝蓋骨を押すと脱臼するが、手を離すと元に戻る。
2.膝関節は不安定で屈曲時に容易に脱臼し、指で押すか膝を伸ばさないと戻らない。
3.膝蓋骨は脱臼したままで、指で押せば整復できるがすぐに脱臼してしまう。
4.膝蓋骨はつねに脱臼し、指で押しても整復されない。

症状はグレードで程度の差はありますが、疼痛、腫脹、跛行、患肢の挙上が、連続的あるいは間欠的にみられます。
一般的に進行性で、徐々に大腿骨の変形や靭帯の変性、筋肉の萎縮がおこり、場合によっては前十字靭帯断裂や変形性膝関節症をおこしてしまうこともありますので、それらを予防する意味でも手術が必要となります。

膝蓋骨脱臼の整復手術方法は何種類もありますが、かむい動物病院では、一人一人の膝の状態に合わせて手術を施しますので、グレードの高く変形が進んでしまった子や前十字靭帯断裂を併発させてしまった動物にも広く対応しております。

腫瘍科

がん免疫細胞療法(活性化リンパ球療法)

がんの治療は、1.外科手術、2.化学療法(抗がん剤)、3.放射線療法の三大療法が大きな柱となります。がん免疫細胞療法(活性化リンパ球療法)は、これに継ぐ第4の療法としてがんの再発を予防し、副作用の苦痛を伴わないで生活の質の改善を高める治療法として期待されている治療法です。

治療の流れ

まず10-12ml採血を行います。血液の中からリンパ球のみ回収し、薬剤を加えてリンパ球(αβTリンパ球)の活性化、増殖を行います。その後およそ1000倍に増えたリンパ球を洗浄、回収し点滴で体内に戻します。

再生医療

幹細胞治療

再生医療は21世紀の新しい医療として、また難病治療の切り札として注目されている最先端の医療です。
動物の体には、さまざまな器官や臓器などに変化する(=分化する)細胞が存在します。この細胞は幹細胞と呼ばれ、幹細胞治療は、この細胞を体外で培養することで必要な器官や臓器を形成させ、再び動物の体に戻してあげることで、失われた臓器や怪我の再生を行う治療法です。

どのような病気に効果があるのですか?
骨折癒合不全:幹細胞が骨の周囲にある骨膜や、骨細胞、また栄養を運ぶ血管に分化することで、骨折部位を修復します。
脊髄損傷:幹細胞が血管へ分化して、損傷部位の血流を回復することで、神経細胞の伸長を補助したり、脊髄全体の再形成を補助します。
炎症性関節炎:幹細胞が新たな軟骨や骨膜を形成させ、痛みをやわらげたり、炎症を抑えます。
治療の流れ

まず皮下脂肪を採取し、幹細胞を培養します。培養した幹細胞は清潔な環境で培養し、細胞の数を増やします。増やした幹細胞は洗浄し集めてから、患部へ注射することでの直接投与や、静脈点滴によって体内に戻します。

皮膚科・アレルギー科

減感作療法

減感作療法とは、まずアレルギーを引き起こす物質(=アレルゲン)を特定し、それを逆に少しずつ体に入れることでアレルゲンに対して体を慣れさせ、アレルゲンに接触しても過敏なアレルギー反応を起こさない体質へと改善させる治療法です。
アレルギー疾患に対する減感作療法は、WHOにおいて「アレルギーの自然治癒を促す唯一の根本的治療法」であり、また「新たなアレルギーの発症を予防する予防的治療法」とされ、人の医療分野のみならず、欧米では獣医療でも広く利用されています。

循環器科

心エコー検査

心不全治療において、聴診での心雑音の大きさのみの診断で心臓薬の選択を行うと、主観的な判断が強くなってしまい、場合によりきちんとした心不全のコントロールが出来なくなることがあります。
そのため当院では、必要に応じ超音波診断装置を用いて心臓の評価を客観的に行い、ドップラーにて心臓の重症度評価を見ることで、今の心臓の状態にあった治療を行っております。

東洋医学

鍼灸治療

鍼:使い捨ての衛生的な鍼を使用しております。


低周波パルス鍼:鍼に低周波パルスの電気を通し、治療を行います。


半導体レーザー:照射するソフトレーザーは、動物の体に対し抗炎症作用と鎮痛効果をもたらしてくれます。また肉芽・血管の再生治療にも効果があり、過擦症などの化膿防止にも使用できます。


灸:びわ温灸:

びわの葉にはアミグダリン(ビタミンB17)などの薬効成分が含まれており、鎮痛作用などがあります。温灸をすることで、これらの作用に加えて東洋医学で言う経絡を流れる気や血の流れを良くし、内臓の働きを正常にします。


灸:温ねつ無煙灸:
動物は人間の何万倍も鼻が利くので、お灸の匂いが苦手な場合があります。
温ねつ無煙灸は火を使わず、煙も出ませんので、安全で匂いを気にせずお灸治療を受けることができます。

エキゾチックアニマル科

フェレット

<予防医学>

ワクチン接種(ジステンパー)
フィラリア予防 行っております。

<フェレットの三大疾患>

副腎腫瘍
フェレットの副腎腫瘍は頻繁にみられる病気の一つです。腫瘍が作られると、性ホルモンが大量に分泌され、体重の減少、脱毛、貧血、雌の生殖器肥大、発情した雄の前立腺疾患等、様々な症状が現れます。
当院では、フェレットの副腎腫瘍に対して内科治療(リュープリン注射)だけでなく、外科手術での副腎腫瘍摘出という根本的な治療も受けることができますので、お気軽にご相談下さい。

リンパ腫
リンパ腫は、白血球という免疫機能を司る血液細胞の中のリンパ球が腫瘍化する血液のがんです。
この病気は、フェレットではよくみられる怖い病気の一つです。細胞診や病理組織検査、血液検査などにより診断します。治療は化学療法(抗がん剤)がメインとなりますが、当院ではフェレットに対しても、より腫瘍抑制効果のある多剤併用プロトコールでの抗がん剤治療を行っておりますので、本人の体調を見ながら治療の選択をして頂くことが可能です。

インスリノーマ
インスリノーマは膵臓に発生する悪性の腫瘍です。この腫瘍細胞から、血糖値を下げる働きのあるインスリンが過剰に分泌されるようになり、低血糖症状となります。将来的には膵臓内で広がっていき、また他の臓器へ転移する可能性もあります。症状として、よだれの垂れ流しや後肢のふらつき、ぼんやりと宙を見つめる、口をひっかく、何となく元気がない、食欲低下、傾眠傾向などが見られましたらこの病気の可能性もありますので、まずはご相談ください。

ウサギ

不正咬合
歯の咬み合せが悪くなる病気で、ウサギではよく見られる病気の一つです。
門歯(切歯、前歯)の不正咬合は唇を少しめくると簡単に確認できますが、臼歯(奥歯)の不正咬合は確認が難しく、食欲低下や膿瘍などの症状が出てから病院でみつかることも少なくありません。
定期的に

顔が傾く(斜頸)
寄生虫であるエンセファリトゾーン感染や前庭疾患

おしっこが赤い
もともとウサギは  ただ膀胱結石や 手術が必要

尿石症 高カルシウム尿症

ハムスター

腫瘍
体調や腫瘍の場所 手術もできる

アレルギー性皮膚炎

骨折
高いところからの落下や 外固定、保存療法がメインとなりますが、ハムスターの大きさ、骨折の場所によっては手術も可能