犬の眼球内メラノーマ(悪性黒色腫) 眼科疾患 腫瘍疾患
[2016年02月18日]
6ヶ月前から右目が腫れてきてしまったミニチュアダックスさん。
かかりつけ医にて治療を受けるも悪化傾向がみられたため、セカンドオピニオンとして来院されました。
右目は著しく腫大し、黒色の色素沈着を伴う眼球の腫瘤が確認され、眼の超音波検査でも眼球内に腫瘤が見られました。
また右目の眼圧も上がり緑内障、ぶどう膜炎および前房出血を併発しており、残念ながら当院来院時の右目の視力は失っている状態でした。
右目の状況から眼球内の腫瘍の疑いが高いため、相談の結果、当院にて眼球摘出手術を行いました。
摘出した眼球の病理組織検査の結果は、眼球のメラノーマ(悪性黒色腫)でした。
眼球組織の顕微鏡検査では、右眼球の虹彩、毛様体部分からメラノサイトのシート状増殖が観察され、メラノーマの特徴である細胞質内のメラニン色素の存在、ならびに核の異型や大小不同、分裂像がみられました。
メラノーマ(悪性黒色腫)とは、メラノサイト由来の悪性腫瘍(=がん)です。
今回のように眼にもできますが、口腔内や皮膚にも発生がみられます。
特に口腔内のメラノーマは非常に悪性度が高く、リンパ節や肺への転移がよくみられる怖いがんの一つです。
ただし、眼球内メラノーマは口腔内のメラノーマと違い、がんの転移が少なくほとんどが良性の動向を示す事が多いです。
そのためすぐに眼球摘出の手術ではなく、経過観察をする事はあります。
当院では、可能な限り眼球を摘出せずにすむ治療を最優先としておりますが、今回のようにがんの疑いがある時など、命を助けるため眼球摘出手術がやむを得ない場合も残念ながらあります。
幸いにこのダックスさんは、現在手術から半年が経過してますが、再発や転移はなく元気いっぱいに過ごしてくれています。
かむい動物病院(東大和市、小平市、東村山市、立川市、武蔵村山市)